【2023年】最新イカメット事情!申請の流れ・必要書類を徹底解説。

この記事はこんな人におすすめ
  • トルコに移住を考えている人
  • トルコに長期滞在をする予定なので、イカメットの情報を知りたい人
  • イカメットの申請中だが、プロセスが複雑でつまずいている人

「トルコにもっと滞在して旅行がしたい」「トルコに移住してみたい」と考え、トルコでの長期滞在を検討される方も多いと思います。

トルコには、イカメット(滞在許可)というシステムがあり、イカメットを取得することで合法でトルコへ長期滞在することができます。(6ヶ月〜2年ほど)

以前は移民局で申請さえすれば、基本的には誰にでも交付されるシステムでしたが、2022年以降、イカメットの新規発行はかなり厳しい状態となっています。

くまの

以前と比較すると厳しい条件下ではありますが、ダメ元で新規申請を行い、面接通過・申請受理まで完了しました。

この記事では、イスタンブールでイカメット新規申請をした筆者が、2022年のイカメット申請経験を基に、必要な書類・申請の流れなどを徹底的に解説していきます。

本記事の掲載情報・料金について

・本記事にて掲載されている情報は、取材時(2022年12月)の情報となります。
記事内での算出金額は執筆時点での為替レートに基づき1TL=¥7.5で算出しております。
・イカメット取得に関する情報は非常に流動的で、イカメット申請の難易度や情報等は随時変更される可能性がありますので、ご注意ください。

目次

【前提】イカメットとは?

たびすけ

イカメットって、なんぞ?

イカメットとは、トルコ入国規定で定められている日数を超えてトルコに滞在する場合に必要となる、滞在許可証のことです。

日本人がトルコへ入国する場合の入国条件

観光や会議への出席などを目的とした3ヶ月(180日間内で合計90日間)以内の滞在であれば査証(ビザ)不要。90日の滞在期限前にトルコを出国し、再入国した場合でも、上記の180日間内に合計90日間を超えての滞在はできません。

上記の合計90日間を超えてトルコに滞在する場合は、イカメットの取得が必要となります。イカメットは公的身分証明書となるため、トルコ国内で長期滞在する外国人は、必ず常時携帯する必要があります。

イカメット(滞在許可)の種類

イカメット(滞在許可)には全部で4種類があり、一般的に「長期滞在がしたい」「長期でトルコ国内を旅行したい」などの理由で取得ができるのは「短期滞在許可」となります。

  • 学生滞在許可:トルコの大学等の高等教育機関へ通学している
  • 家族滞在許可:トルコ人と結婚した本人、またはその子供
  • 人道滞在許可:人道的な理由により、トルコへ滞在している
  • 短期滞在許可:その他の理由によりトルコでの滞在を希望している

短期滞在許可の取得要件

4つの滞在許可の中で、外国人に対して最も身近である許可区分は「短期滞在許可」ですが、短期滞在許可の交付要件には更に細かい要件があります。

主な要件は以下の通りで、以下のいずれかに該当する場合は「短期滞在許可」の申請ができます。(ただし、準ずる証明書や書類等の提出が必要となります。)

短期滞在許可の要件必要な書類など
観光目的で滞在する場合必要な書類は本記事で解説
トルコに居住用不動産を有する場合土地の権利証明書等が必要
商取引等のビジネスで滞在する場合関連する企業および人物による招待状、または準ずる書類の提出が必要
トルコ語学習コースに在籍する場合国民教育省の認可を受けた教育機関からの証明書、または準ずる書類の提出が必要。また、コースを超える期間の滞在は不可
短期滞在許可を申請するための主な要件

※その他にも要件があり、該当する場合は必要書類を添えて申請が可能です。詳細はトルコ移民局の在留許可種別「短期滞在」の項(トルコ語)をご確認ください。

トルコでイカメットを取得する場合、ほとんどの日本人は「観光目的の滞在」という形で取得を申請する形となります。

くまの

「え、トルコ語を勉強しながら滞在したい場合は、トルコ語学習コースに在籍すればいいの?」という方は、こちらで解説しています!

「観光目的の削除」について

2020年1月、同イカメットに関する法令から「観光目的」を削除する旨が公表されました。移民局が公表している「在留許可要件」では引き続き掲載されていますが、在トルコ共和国日本大使館からもアナウンスがされています。

(参考):短期滞在許可証(イカメット):観光目的の削除

今後どこかのタイミングで「観光目的」での申請は不可能となる可能性もありますので、ご注意ください。

【2023年】イカメットの最新事情

イカメットの新規申請が難しい状況に

以前までは、イカメットは申請こそ労力がかかる作業でしたが、必要書類の準備と税金の支払いさえできてしまえば、基本的には誰でも制限なくイカメットを取得することができていました。

ただ、2023年現在、以下の複数要因によりイカメットの新規申請が難しい状況です。

  • 2022年2月以降、トルコ政府により移民政策が変更・強化された。
  • 2022年のロシアのウクライナ侵攻により、両国からの避難者がトルコへ多数移住しており、移民局は人道的配慮から二国籍者への滞在許可を優先している。
  • 移住者増加により賃貸物件が急激に不足・高騰しており、物件を確保する難易度が高くなっている。
  • 2022年7月より施行された25%ルールにより、イカメットを取得できる地域が限られている。

イカメットの取得時には、申請業務のプロであるイカメット代行業者へ依頼するケースも多いかと思いますが、代行業者でさえ昨今の状況から新規申請は難しいと判断しており、「比較的審査が通りやすい日本人であっても断られるかも」「交付される責任は取れないよ」という前提のもと依頼することになります。

万が一新規取得が却下された場合、支払った諸費用や税金などは返金されないため、かなりリスクが伴う点にも注意が必要です。

必要な書類が増加している

イカメット申請に必要となる書類が増えており、書類を用意するのが以前と比較して大変難しくなっております。特に賃貸物件のオーナーから取り付けが必要な書類が多く、賃貸物件を借りる際にこの部分の交渉も必要となります。

くまの

必要な書類はざっと以下にまとめました!

イカメットの申請に必要な書類

たびすけ

イカメットに色々と書類が必要だと聞いたのですが、どんなのが要るんですか?

イカメットの申請に必要な書類と、書類の準備方法は以下の通りです。

本記事の掲載情報・料金について

・本記事にて掲載されている情報は、取材時(2022年12月)の情報となります。
・必要となる書類は随時変更される可能性があるほか、担当官の指示により個別に追加される可能性があります。

No.必要書類準備方法
1パスポート
2パスポートのコピーコピー屋でコピーする
3証明写真4枚(50×60 mm)写真屋で撮影する
4トルコの携帯電話番号トルコで現地SIMカードを購入する
5メールアドレス
6トルコで加入した健康保険証書
(補償内容の概要ページ/保険会社の署名ページの2種)
トルコで健康保険に加入する
7公証役場(Noter)で認証された賃貸契約書(原本)賃貸物件オーナーと公証役場へ行き認証する
8トルコ不動産証書(TAPU)のコピー賃貸物件オーナーから入手する
9自然災害保険加入証明書(DASK)のコピー賃貸物件オーナーから入手する
10トルコの税金番号公証役場(Noter)または税務署で交付
11税務署の領収書(原本)
(カード発行料/居住許可料)
税務署で支払う
  • トルコ不動産証書(TAPU)のコピー
  • 自然災害保険加入証明書(DASK)のコピー

については、2022年に追加された必要書類となっており、必ず提出が必要となります。これらの書類は賃貸物件のオーナーが保管している書類のため、物件契約時にオーナーからコピーさせてもらう必要があります。

また、初回面接で必要となる書類は上記11種ですが、ある程度書類不備等がないかを確認できたタイミングで、面接官から以下の書類を提出するよう求められます。

No.必要書類準備方法
12滞在目的申告書初回の面接で面接官から受け取り、後日再提出を求められる
13税務署の領収書(原本)
(シングルエントリービザ料)
必要書類が揃った時点で面接官から支払いを求められる

直近の申請では、観光目的での滞在許可を求める場合には「滞在目的申告書」の提出が求められます。同書類には「滞在理由」や「収入詳細」について記載する項目があり、面接でも確認されます。

なお、稀ではありますが、加えて「収入証明書」「無犯罪証明書」等の追加提出が求められる場合があります。

イカメット申請の流れ

イカメットの申請手順は以下の通りです。

STEP
トルコの携帯電話番号を取得する

トルコの携帯電話番号は現地SIMカードを契約することで入手ができます。イカメット申請後の連絡は全て該当電話番号のSMS宛てに来るため、連絡がつく携帯電話番号を登録する必要があります。

STEP
メールアドレスを用意する
STEP
賃貸物件を借りる

イカメットの申請には居住地が必要となるため、賃貸物件を借りる必要があります。賃貸物件は以下の観点に考慮して探す必要があります。

  • 25%ルールに該当した地区ではないか
  • 最低契約期間や敷金等の諸条件を交渉できそうか
STEP
公証役場(Noter)で賃貸契約書を認証する

賃貸契約を結んだあと、賃貸物件のオーナーと公証役場(Noter)へ行き、認証してもらう必要があります。認証費用は契約期間や家賃により変動しますが、1000TL(¥7,500)前後が目安です。

また、トルコ語を理解できない場合は、規則上行政に関する書類の翻訳が必要となるため、公証役場側で用意する通訳を雇う必要があり、別途費用がかかります。

STEP
賃貸物件のオーナーから各書類を受け取る

「トルコ不動産証書(TAPU)のコピー」「自然災害保険加入証明書(DASK)のコピー」などの書類をコピーさせてもらう必要があります。

STEP
写真を撮影する

イカメット用に、下記規定を満たす顔写真を合計4枚用意する必要があります。

  • サイズ:50mm×60mm
  • 背景色:白
STEP
イカメット申請フォームから申請する

トルコ政府公式のイカメット申請フォームから、イカメット申請内容を入力します。

システム自体への登録作業はかなり労力と時間がかかる他、規定回数を超えて入力を誤ると入力に制限がかかるなど、自力での作業はかなりハードルが高いです。筆者はイカメット代行業者へ依頼しました。

STEP
トルコの民間健康保険会社へ加入する

イカメット申請時には、トルコ国内で民間の健康保険会社に加入する必要があります。

日本で加入した健康保険やクレジットカードに付帯する健康保険等では申請ができないので、注意が必要です。筆者はSompo Sigorata(損保ジャパンのトルコ支社)を契約をしました。

自力でトルコの民間健康保険会社を探す場合は、必ずイカメット用のプランで契約する必要があり、保険料は年齢によって異なるのが一般的です。

STEP
申請フォームを印刷する

イカメットの申請内容がPDF化されるため、内容に不備がないかを確認しカラー印刷します。印刷は街中にあるコピー屋で可能です。

STEP
税務署で必要な手数料を支払う

印刷した申請フォームを近くの税務署(Vergi dairesi)へ持参し、以下2種類の税金を支払います。

  • イカメット発行手数料
  • 居住許可料

イカメット発行手数料は共通料金となり、2022年現在では160TL(¥1,200)です。居住許可料は国籍ごとに異なり、2022年現在では日本人の居住許可料は56$/1044.92 TL(¥7,840)です。

支払い後に領収書が印刷されますが、こちらは支払証明書としてイカメット申請時に原本が必要となります。

また、税務署での支払いには税金番号が必要となります。筆者の場合は賃貸契約認証の際に公証役場(Noter)で交付されましたが、税金番号がない場合には税務署内で交付されます。

STEP
移民局へ行き面接を受ける(2~3回くらい)

イカメット申請フォーム完了後、移民局での面接日が決定しますので、指定された移民局へ指定日時に赴きます。

移民局では大きく分けて以下の3つの手続きが行われます。

  • 書類内容の確認(項目に不備はないか、不備の書類はないかなど)
  • 滞在理由の確認
  • 指紋・顔写真・個人情報等のシステム登録

詳細な移民局での面接の流れについては、以下の記事で解説しています

なお、2022年12月現在では、観光目的での滞在許可を求める場合は「滞在目的申告書」の提出が求められます。同書類は1回目の面接時に面接官から渡され、追加書類として後日再提出するよう求められますので、最低でも2〜3回は移民局へ訪問する必要があります。

STEP
税務署で「シングルエントリービザ料」を支払う

面接官から返却されるファイルを税務署(Vergi dairesi)へ持参し、「シングルエントリービザ料」を支払います。

シングルエントリービザ料とは

シングルエントリービザとは、合計90日を超えてトルコに滞在するために一時的に必要となるビザのこと。申請の過程で一時的に90日を越える可能性があるため、シングルエントリービザ料を支払う必要があります。(一部免除されている国もありますが、日本人の場合は支払いが必要です。)

2022年12月現在では、シングルエントリービザ料は1033.60TL(¥7,750)です。

支払い後に領収書が印刷されますが、こちらは支払証明書として移民局で原本を提示する必要があります。

STEP
移民局を再訪問する

面接官へ「滞在目的申告書」および「シングルエントリービザ料の領収書」を提出します。スムーズに進めば、2〜3回訪問をしたあたりでイカメットの新規申請が完了しますので、面接官と各書類にサインをし申請は完了です。

イカメット申請が完了したら

イカメット申請が完了すると受理処理番号が印字されたシールがパスポートへ貼付されます。また、同時に渡される紙がイカメット申請中の「仮滞在許可証」代わりとなりますので、常に携帯するようにしましょう。

イカメットの申請状況は、「e-ikamet」から確認ができます。

よくある質問

イカメット申請について、よくある質問をこちらにまとめました。

イカメットを申請するタイミングは?

入国後2ヶ月以内には面接日の予約(=イカメット申請フォーム完了)をおすすめします。

イカメットの申請は、入国規定で認められているビザなしでの滞在期間(=最大90日間)以内に進める必要があります。

イカメット申請に必要となる各書類の準備や賃貸物件の内見・契約で約1ヶ月間程度は要することが見込まれます。

イカメット申請フォームの入力が完了した後も、繁忙期等には移民局の予約が取れない場合もあり、面接後も追加書類の手配や再訪問等である程度の期間が必要となるため、少なくとも入国後2ヶ月以内には完了することをおすすめします。

イカメット取得に要する費用はどのくらい?

おおよそ¥70,000前後が見込まれます。

  • 各種必要書類のコピー料
  • 証明写真の撮影料
  • 公証役場(Noter)での賃貸契約認証料
  • 公証役場(Noter)での通訳者委託料
  • トルコの民間健康保険加入料
  • イカメットカード発行手数料
  • 居住許可料
  • シングルエントリービザ料

イカメットの発行には最低でも上記費用が発生する他、イカメットの申請を一部委託する場合はイカメット代行業者への支払いも発生します。

筆者がイカメット申請時にかかった費用と、少しでも安くするためにできることについては、以下の記事で解説しています。

イカメットの取得難易度は今後緩和される?

イカメットの取得難易度はトルコ国内外の情勢や各方針に左右されるため、予想ができません。

イカメットの取得難易度は過去に大幅に難化したこともあれば、大幅に緩和されたこともあります。

近年での傾向では徐々に移民局からの要件規制も増えており、トルコ政府からも「滞在許可の交付要件から観光目的を削除する」旨がアナウンスされている点からも、今後については様々なケースが想定されます。

くまの

代行業者には「緩和される可能性もあれば、さらに難化する可能性もあるので一概には不明」と言われました。

トルコ語学習コースに在籍すれば、イカメットは取りやすいですか?

イカメット(短期滞在許可)が申請できる要件の1つである「トルコ語学習コースに在籍する場合」とは、トルコ国民教育省の認可を受けた教育機関(語学学校など)で学習するなどの理由で滞在する場合を指します。

筆者は2019年にイスタンブールの語学学校でトルコ語留学をしていた経験があり、今回の申請でもトルコ語学習コースに在籍しイカメットを取得することを検討していましたが、流動的に情報が変わっていることを理由に語学学校側から難しいという回答で、筆者は「観光目的」という形式に切り替えて申請しました。

他の語学学校等であれば、対応してくれる場合もあると思いますので、各語学学校へ確認のうえ検討してみてください。

イカメットが却下された場合、賃貸物件の契約がリスクが高そう。どのように物件を見つけましたか?

筆者の場合は、信頼できる知人がたまたま物件の借り手を探していたため、好条件で正式に賃貸契約を結ぶことができました。

とはいえ、筆者も実際にイスタンブール市内で物件を複数内見・諸条件の交渉をしました。

立地や設備の観点で最終的な契約には至らなかったものの、イカメット取得に必要な諸条件をクリアできる物件はあるため、根気強く探すことが大切です。

筆者がトルコで物件探しに奔走した話は、下記でも紹介しています。

賃貸物件はAirbnbでも大丈夫?

Airbnbのホストが問題なければOKですが、注意点が多いです。

Airbnbの物件でも、正式な賃貸契約として公証役場で認証ができれば問題ないので、Airbnbのホストが合意すれば問題ないです。

ただし、ホストと以下を念入りに確認するようにしましょう。

  • 長期間(最低でも6ヶ月前後)借りることになるが問題ないか
  • Airbnbホストはその物件の持ち主か(又貸しではないか)
  • Airbnbホストはその物件を賃貸物件として届け出ているか
  • 「トルコ不動産証書(TAPU)のコピー」は提供してもらえるか
  • 「自然災害保険加入証明書(DASK)のコピー」は提供してもらえる

特に、トルコのAirbnbではホストが賃貸物件の本当の持ち主に内緒でこっそり又貸ししているケースもあり、その場合は確実にトラブルの元になるので注意が必要です。

また、賃貸物件としての登録や各種権利、保険関係がしっかり行き届いているかを確認するようにしましょう。

【まとめ】イカメット新規申請はかなり厳しい状況、必要な書類も多い

イカメット新規取得の最新事情まとめ

・2022年2月以降、トルコ政府により移民政策が変更・強化された。
・移住者増加により賃貸物件が急激に不足・高騰しており、物件を確保する難易度が高くなっている。
・2022年7月より施行された25%ルールにより、イカメットを取得できる地域が限られている。

筆者は2022年12月にイカメット新規申請を行いましたが、上記のような移民政策・情勢に起因する要因や、諸条件に合う賃貸物件を探す難しさなどから、総じてイカメットの新規申請は厳しい状況です。

筆者は結果として、残念ながら2022年のイカメット新規申請は却下されてしまいましたが、これからイカメットを新規申請される方のお役に立てると嬉しいです。


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