- トルコ旅行でお得に現地通貨(トルコリラ)を調達したい人
- トルコ旅行に備えて、事前にトルコでのキャッシング事情を知りたい人
- トルコでキャッシングをしてみて、あまりの手数料の高さに驚いている
トルコ旅行時や海外旅行時に、現地通貨を手軽・お得に用意するには、クレジットカードやデビットカードを利用した現地ATMでの海外キャッシングが便利です。
今まで20カ国以上を旅してきた筆者も、どの国へ行く際にも必ず海外キャッシングで現地通貨を調達するようにしています。
ただ、2023年12月現在、トルコリラの為替レートは非常に不安定な状況となっており、各銀行は海外キャッシングに対して追加手数料を加算する場合があります。何も知らずにATMでキャッシングをすると、利用手数料が5%〜10%ほど取られてしまう場合も、、、
僕も実際に、イスタンブールで¥25,000ほどキャッシングをして、手数料が¥2500くらい引き落とされたことがあります。。。
この記事では、トルコ・イスタンブール在住の筆者が、トルコのATMキャッシング事情と、できるだけ手数料を抑えてお得にキャッシングができるATM情報などを徹底的に解説していきます。
【前提】トルコリラは近年で急激に変動している
事前情報として、トルコリラの為替レートは直近で急激に変動しています。
年 | 円/1TL |
---|---|
2018 | ¥23.5 |
2019 | ¥19.2 |
2020 | ¥15.4 |
2021 | ¥12.7 |
2022 | ¥7.5 |
2023 | ¥5.3 |
2024 | ¥4.8 |
ここ近年での物価上昇率(インフレ率)は85%に達しているものの、トルコの政策では一貫した利下げを続けているため、トルコリラのレートは急激に変動(大局的に見ると暴落)している状況です。
日本や欧米諸国、周辺諸国からの観光客にとってはまだまだ旅行がしやすい感覚ではありますが、現地のトルコ人にとっては数年の間に物価が2倍にも3倍にも上昇しており、苦しい状況が続いています。
実際に、
- 食費
- 日用品
- 家賃
- 交通費
- 観光施設の入場料
などの物価は年々増加しており、旅行客にとっても決して良い状況とは言えません。
ガイドブックやインターネットに掲載されているあらゆる価格も現在では全く異なる場合が多いので、注意が必要です。
トルコATMでのキャッシング事情も、このような背景があり変動しているってワケです。
最新のトルコATMでのキャッシング事情
トルコATMのキャッシングの特徴は?
物価上昇とトルコリラの変動が激しいトルコですが、トルコのATMで海外キャッシングを行う場合は、他国でのキャッシングと比較して以下のような特徴があるのでおさえておきましょう。
DCC手数料を取られるATMが多い
トルコのATMでは、近年DCC手数料を要求するATMが増えています。
ん、DCCって何ですか?
DCCとは?
DCC(Dynamic Currency Conversion)は、その場である程度の基準レートで換算し、日本円で決済金額を提示してくれるというものです。
例えば、海外でショッピングやキャッシングなどでクレジットカードを使用した場合、流動的に変動する為替レートを即座に反映することは難しいため、通常は2〜3日後に為替レートを反映し決済金額として確定しますが、DCCはその場で日本円で決済金額を確定します。
一見、即時にレートが確定し日本円で決済金額が表示されるので分かりやすく安心感がありますが、ATM(=銀行側)は、DCC決済を行うことで為替レートの変動次第ではリスクを被る可能性もあるため、DCC手数料(引き出した金額の5〜10%くらい)を追加で請求してきます。
ほとんどのケースでは、DCC決済を選択することで損をしてしまうので、海外でショッピングやキャッシングをする際はDCC決済を選択しないのがおすすめです。
DCC決済を選ばなければいいのね。
でも、DCC決済はどのように見極めるの?
ATMの画面で以下のような表示がされた場合は、DCC決済を提案しています。
- 「DCC」の表示
- 為替レートの表示(1TL=○○○JPY)
- 日本円の表示(○○JPY)
- 手数料に関する単語(Fee、Mark up、Commision、Conversionなど)の表示
ほとんどのATMでは、DCC決済を提案している場合、上記のように為替レートや換算後の日本円などが表示されるため、見極めが容易です。DCC決済の提案自体が表示されることは問題ないので、表示された場合は落ち着いて「DCC決済を拒否(Accept without DCC)」を選択しましょう。
ATMオーナー手数料が取られる場合も
DCC決済の有無に関わらず、一律のATMオーナー手数が取られる場合があります。
そもそも、海外でATMを利用する際に発生する手数料には、以下の2種類があります。
▼海外ATMでかかる手数料はこの2つ
・カード会社が設定するATM手数料
・ATMオーナー手数料
前者の「カード会社が設定するATM手数料」は、クレジットカード発行会社(=楽天、エポスなど)が設定しているもので、カード会社によって異なりますが、¥0〜¥330というケースが多いです。
一方後者のATMオーナー手数料は、ATMを設置している銀行などが設定している手数料で、一部のATMで取られる場合があります。
クレジットカードで海外キャッシングをした場合はATMオーナー手数料が免除される事が多いのですが、トルコの場合はDCCを拒否した場合などに追加手数料として取られる場合があります。
トルコのATMで海外キャッシングをする際に、DCCとは別に手数料が追加で取られるような表示が見られる場合は、取引を中断し、他のATMで再度試してみましょう。
- Transaction fee、Commisionなどの表示
高額は引き出せない場合も
これはトルコに限った話ではなく、他国でも起こり得るケースですが、
- 1回で引き出しができる金額が制限されている
- ATMに十分な紙幣が入っておらず、引き出せない
などの理由で上手くキャッシングができないケースがあります。
実際、トルコのイスタンブールで、3000TL(¥16,000)がATM内に無いため引き出せなかったことが2〜3回あります。
万が一取引がうまく行われずカードが返却された場合は、金額を変更して再度試してみましょう。
手数料なしでお得にキャッシングができるATM4選
トルコで手数料なしでキャッシングができるオトクなATMを教えてください。
トルコで手数料なしで一番お得にキャッシングができるATMを探している場合は、以下のATMが便利です。
これらのATMであれば、クレジットカード会社が定める所定の手数料以外に追加手数料等は取られないため、安心です。
HSBC
- DCCの提案:なし
- DCC手数料:なし
- DCCレート:なし
- ATMオーナー手数料:なし
HSBCは、香港で創設され、イギリスに拠点を持つ世界最大級のメガバンクです。
外資系銀行のため、海外キャッシングの場合でもDCCの提案や追加手数料の請求などがなく、日本国内のATM同様に引き出しができるので、旅行者でも安心して引き出しができます。
ただし、ATM自体の設置数が少ないので、引き出す際にはATM設置場所を事前に探しておくのがおすすめです。
PTT
- DCCの提案:なし
- DCC手数料:なし
- DCCレート:なし
- ATMオーナー手数料:なし
黄色い看板が目印のPTTはトルコの国営郵便サービスで、日本の日本郵政のようなものです。DCCの提案や追加手数料の請求などがなく、旅行者でも分かりやすく引き出しができます。
ATM自体は単体で設置されておらず、PTTに併設されています。
Ziraat Bankası
- DCCの提案:あり(拒否ができる)
- DCC手数料:6.00%(拒否ができる)
- DCCレート:かなり良い
- ATMオーナー手数料:なし
DCCの提案が表示されますが、DCC拒否(Accept without DCC)を選択することで通常通り海外キャッシングができます。
トルコ最大の国営銀行であるZiraat Bankasıは、支店やATMの設置数が多く、街中でも見つけやすいです。
なお、イスタンブール空港を利用する場合は、こちらで紹介しているATMの中で唯一設置されているため、イスタンブール空港を利用する場合はこちらのATMがおすすめです。
HALKBANK
- DCCの提案:あり(拒否ができる)
- DCC手数料:5.50%(拒否ができる)
- DCCレート:かなり良い
- ATMオーナー手数料:なし
DCCの提案が表示されますが、DCC拒否(Accept without conversion)を選択することで通常通り海外キャッシングができます。
HALIKBANKもトルコの国営銀行であり、ATM設置数も多く、街中でも見つけやすいです。ショッピングモールなどにはほぼ確実に設置されているため便利です。
トルコの銀行では似たような看板(青背景に白字フォント)の銀行が多いので、間違えないように注意しましょう。
【避けるべき】トルコのレートが悪いATM
トルコでよく見かけるが、レートが悪いATMを紹介します。
これらのATMでは、DCCの提案が拒否できなかったり、DCC手数料が高額、追加手数料などが発生する、換算レートが良くないなどの理由から不利な条件でのキャッシングとなるため、筆者はおすすめしておりません。
緊急時や、他にどうしてもATMが見当たらない場合以外は避けるのが無難です。
※以下、DCC決済で1000TLを引き出した場合の総額順(安い順)
比較的良心的なATM
Garanti BBVA
- DCCの提案:あり(拒否ができる)
- DCC手数料:6.99%(拒否ができる)
- DCCレート:かなり良い
- ATMオーナー手数料:なし
DCC手数料は6.99%とやや高めですが、今回の調査では最も換算レートが良かったため、DCC決済を行った場合でもトータルでは比較的コストを抑えてキャッシングが可能です。「Reflect as TL」を選択することでDCC拒否が可能です。上記4銀行のATMが見当たらない場合には良いかも。
避けるのが無難
QNB Finansbank
- DCCの提案:あり(拒否ができる)
- DCC手数料:8.00%(拒否ができる)
- DCCレート:比較的良い
- ATMオーナー手数料:なし
DCC手数料は8.00%と高め、換算レートは比較的良いです。「Reflect TRY」を選択することでDCC拒否が可能です。
Türkiye İş Bankası
- DCCの提案:あり(拒否ができる)
- DCC手数料:8.00%(拒否ができる)
- DCCレート:適正
- ATMオーナー手数料:8.00%
DCC手数料は8.00%と高め、換算レートは適正です。
DCCを拒否してもATMオーナー手数料の名目で手数料が発生します。トルコのATMで唯一日本語での表示に対応しているため、日本語での表示を希望する場合には利用してもいいかも。
絶対に避けるべき
DenizBank
- DCCの提案:あり(拒否ができる)
- DCC手数料:10.00%(拒否ができる)
- DCCレート:適正
- ATMオーナー手数料:4.10%
換算レートは適正ですが、DCC手数料が10%と高額なうえ、さらにATMオーナー手数料で4.1%が加算されます。かなり不利な条件ですので、絶対に避けましょう。
Yapı Kredi
- DCCの提案:あり(拒否ができる)
- DCC手数料:6.00%(拒否ができる)
- DCCレート:かなり悪い
- ATMオーナー手数料:8.49%
トルコ国内第4位の規模を誇る銀行です。
ATM手数料が8.49%とかなり高いです。
DCC手数料は6.00%と良心的ですが、換算レートがかなり悪く、DCC決済を行った場合はATMオーナー手数料と合わせてかなり損をするため、絶対に避けましょう。
AKBANKM
- DCCの提案:なし
- DCC手数料:なし
- DCCレート:なし
- ATMオーナー手数料:9.90%
トルコ国内で首位に入る銀行です。DCC提案はないものの、ATMオーナー手数料が9.99%とかなり高く、拒否ができません。
実際にATMオーナー手数料が請求されるかどうかはクレジットカードにより異なりますが、避けておくのが無難です。
ショッピング時のクレジットカード決済で手数料が発生する場合も
ちなみに、ATMキャッシングではなく、ショッピング時にクレジットカード決済するのはどうなんでしょうか?
トルコでは、クレジットカード決済が広く普及しており、比較的どこでもクレジットカードを使った決済ができます。
ただし、トルコでは以下のような形で、実質的にクレジットカード決済時に別途手数料がかかるケースがあります。
- クレジットカード決済時に10%程度の手数料を上乗せされる
- 品物・サービスの料金表示が、現金決済とクレジットカード決済で異なる
特に個人経営や規模が小さいお土産屋・雑貨屋・アパレル店などで別途請求されるケースが多いので、気になる際は予め確認するようにしましょう。
【まとめ】HSBC、PTT、Ziraat、HALKがお得、その他はおすすめしない
- トルコリラの暴落に伴いATM手数料が上昇している
- 手数料にはDCCとATM手数料の2種類がある
- トルコでお得にキャッシングできるのは「HSBC」「PTT」「Ziraat」「HALK」
- ショッピング時のクレジットカード決済で手数料が発生する場合も
物価上昇とトルコリラの変動が激しいトルコでは、他国では比較的簡単にできるATMでの海外キャッシングも、場合によっては手数料が高くつき不利な条件となるケースがあります。
トルコでお得に海外キャッシングをする場合は、本記事でも紹介した以下の4つの銀行ATMがおすすめです。
- HSBC(世界最大級のメガバンク)
- PTT(トルコの国営郵便サービス)
- Ziraat Bankası(トルコ最大級のメガバンク)
- HALKBANK(トルコの国営銀行の1つ)
その他の銀行では、DCC手数料や追加手数料が発生する場合も多いため、緊急時や、他のATMがない場合を除いては避けておくのが無難です。
なお、トルコではクレジットカード決済も別途決済手数料が発生するケースもあるため、注意しましょう。
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